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ロイの夢 [心理]

ロイは小中学校時代、
多動だった。
いつも先生にじっとしろとどなられ、
このまま勉強しないなら
お前は特別支援に行くんだぞと言われた。
友人関係は良好だったが、
授業が気が散って受けられないので
成績は悪かった。
しかし、義務教育時代、皆勤賞だった。
母親は当時を振り返り、
「馬鹿だけど体は丈夫だからそれが一番いい」と述懐した。
勉強が嫌いだから
中学を出て現場での仕事に就職しようと思い、
父親もこんなに勉強できない息子が
高校に行っても仕方ないと同意した。
ところが中学3年の時の担任は、
高校に行くべきだと主張し、
ロイが通うことのできる
都市の技術系の高校を探し、
父親を説得し、奨学金の手続きをしてくれた。
ロイは皆勤で高校を卒業し、
競争率が高く安定性のある大企業に合格して採用され、
勤続30年を超えた。
はたしてロイは、小中学校の担任や両親の言うとおり
「馬鹿」で特別支援が必要な子だったのか。
人の価値は死んで決まるというからまだわからない部分はあるが、
少なくとも今の時点では、
真面目に勤務し、
家族を大切にするよい父親であることから、
いわゆるおばかさん、ではないだろう。
アルコールや賭け事に依存してもいない。

でもロイ本人は
今でも小学校の担任に言われた言葉に縛られ、
自分は頭が悪いと劣等感をもっている。

このことから、
学校の先生は軽々しく生徒を頭が悪いと
決めつけてはいけないことがわかる。
また、親も、小学校時代から半世紀近くたったのに、
その時のイメージで「馬鹿だが健康」と言ってしまっている。
もちろん他人の私への謙遜はあるだろうが。

では両親は
ロイの小学校時代どうすればよかったか。
息子が悪い成績をとってきた時、
最低限叱ってはいけないが、
お前が授業中ごそごそしているせいで
成績が悪いと、分析するのはいいかもしれない。
黙っていることは
その評価を肯定することになる。
自分が成績が良かったが
家庭の事情で中学で就職した母親にとっては
勉強できる環境にいるのにしない息子に
いらだちを感じで当然だが、
そこは自分と比べるのをやめ、
「お前の良いところをみつけられず、
悪い成績を付けた先生の言うことは
気にする必要はないよ。」と
言ってやるべきではなかったか。

先生は尊敬するべきである。
でも、先生も神様ではないから
まちがえることはある。
生徒を評価するときに、
多動という要素を排除せず、
その行動をもとに
日頃の授業の邪魔をすることを
視野に採点すれば、
ロイはいつも悪い成績だっただろう。

それは仕方ないにしても、
親だけは、わが子の可能性を信じ、
その評価を無視するべきではなかったか。

ロイとそんな話をした夜、
彼は夢をみた。



ロイは私と
マンションの一室をのぞいている。
中には
ロイが
学生時代成績が良かったと
認める女性(でき子)と、
でき子の友人夫婦と赤ん坊がいた。
通り過ぎて有名な大会社を訪ね、
ここがいとこの勤める会社かと思った。

解釈

でき子が出てきたことはたぶん無関係。
私と一緒に部屋の中をのぞいたことから、
私が言ったことを契機に
過去を直視することになったことと、
一人では過去を思い出したくないので、
私を補助者として引っ張り出したとも考えられる。
でき子は妹スノ、
友人夫婦と赤ん坊はロイの両親と弟をあらわす。
(もっと忘れようという無意識の働きが弱いのなら、
スノ、両親、弟本人が夢の中にでてきたはず。)
スノは兄ロイと違い、成績優秀だった。
ロイが10歳ぐらいの時、スノも小学校に通い
初めて成績表を見て、
両親はスノの成績の良さに驚き、
当然ほめた。
その頃、弟はまだ赤ちゃんだった。

妹がほめられる姿を
ロイは遠くから眺めて、
疎外感を感じ、傷ついた。
また、家族とともに
妹の良い成績を喜べない自分を恥じた。
そういうことが、義務教育時代、続いた。

あまりにも傷ついたから、
ロイの無意識はそのことを忘れることにした。
小中学校時代の記憶も聞かれても答えられない。
先生にひどく叱られたことぐらいしか思いだせない。
それと、強い劣等感。
就職以後の出来事はよく覚えているのに。
後半のいとこと大企業のことは、まだ解釈できていない。

反応

ロイは私と夢の話をしたが、
強い抵抗があり、
すぐ眠くなってしまった。
夢で私が解き明かしたことが
事実ならロイは怒るかと思っていたが、
怒れないほど深く記憶を沈めてしまったのだろうか。

ロイの劣等感をなくすためには、
本当はロイの母の言動を変えてもらうのが一番良い。
他人にロイについて話すときに、
馬鹿だけど健康、ではなく、
小学時代は健康な子だったよ、
とシンプルに言えばいいのだ。

しかしロイのお母さんはもう人生の終焉が近く、
いまさら彼に対する認識を変えることはないだろう。

封印していた事実が夢に出てきたことで、
彼の劣等感が少しは軽減するのではないか。

繰り返すが学校の先生は神ではない。
その評価は間違うこともある。
それを子供に代わって
正してやれるのは親だけ。
親にできなかったなら、自分で正せばいい。

「こんなもの、気にしなくていい。
お前にはほかにいいところがたくさんある。
弟や妹、祖父母にやさしいし、
気分が安定していて
大騒ぎしてものをほしがったりすることもない。
学校にも喜んでいくし、友達とも仲良く遊べる。
家の仕事(農業)もよく手伝ってくれる。
学校の勉強はできないかもしれないけど、
お前の頭そのものは、とても優秀なんだよ。
本当のばかかりこうかは、学校を出て、
人生をどう生きるかで決まるのだから。」

そして大人になったロイに。
「ほら、言ったとおりでしょ。
あなたはばかじゃなかった。
立派な社会人になった。
あの先生の評価はやはりまちがっていたね。
中三の時の先生が正しかった。
いい人に巡り合えてよかった。」

私が、親に代わってロイに言いました。
どうか、ロイの中の根拠がない
劣等感がなくなりますように。


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